……っぽい。
 
もっと照れさせたくて、先輩の手を握り返し、額と額をくっつけて至近距離で見つめる。

少々ご機嫌斜めな様子の先輩はすぐに目を逸らしてしまったけれど、それに構わず俺は言う。


「キス、してください。いつも俺からばっかりだから、こういう記念日的な日くらい、先輩のほうからしてくれてもいいと思います」

「な……っ!」


すると先輩が露骨に目を泳がせる。

やばい、もうなんでこの人反応がウブなの。

可愛すぎてもっといじめたくなってしまう。


今までの恋愛経験のせいもあってか、先輩は求められれば応じるが自分から求めてくることはまずあり得ず、俺は散々、先輩のほうからキスをせがんでくれたら嬉しいと言ってきた。

が、恥ずかしいのか何なのか、未だその希望は叶っていないため、しっかり俺からプロポーズする代わりに、先輩からしてほしいのだ。


「絶対服従命令、発動しちゃう系?」

「そうですね、自分から発動してって言ってるようなものですけど、発動しちゃいましょうか」

「しまった……」


悔しそうに顔を歪める先輩がなおさら可愛い。

結局は墓穴を掘っているし、こんな人、おいそれと手放せるわけないじゃないか。
 
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