Switch
第十一章
そんなこんなで、瞬く間に十日が過ぎた。
いい加減、廻るところもなくなってくる。
「ああくそ。十年かかっても見つからなかったと思えば、まだまだ短ぇが、こうも見つからねぇもんかよ」
部屋でがしがしと頭を掻き毟りながら、貫七がぼやく。
横で政吉が、首を傾げた。
「十年?」
「いや、何でもねぇ」
適当に誤魔化し、貫七は膝の上のおりんを撫でた。
「しかし、覚悟していたとはいえ、こうも見つからないものですかねぇ。遠く離れたところにまで、噂が広まるぐらいの術者なのに」
政吉も、ため息交じりに言う。
貫七は顎を撫でた。
ここに来るまでも道々聞いてみたが、そういえば噂になっている、というほど知っている人はいなかった。
「そうか」
ぽん、と貫七が膝を打った。
「俺たちが話を聞いてきたのぁ、庶民じゃねぇか。考えてみりゃ、その辺の奴らなんて、跡取りとか関係ねぇ。そんな御大層な家柄じゃねぇしな。そんな奴らは腹の赤子がどっちだろうと、構いやしねぇだろうよ」
いい加減、廻るところもなくなってくる。
「ああくそ。十年かかっても見つからなかったと思えば、まだまだ短ぇが、こうも見つからねぇもんかよ」
部屋でがしがしと頭を掻き毟りながら、貫七がぼやく。
横で政吉が、首を傾げた。
「十年?」
「いや、何でもねぇ」
適当に誤魔化し、貫七は膝の上のおりんを撫でた。
「しかし、覚悟していたとはいえ、こうも見つからないものですかねぇ。遠く離れたところにまで、噂が広まるぐらいの術者なのに」
政吉も、ため息交じりに言う。
貫七は顎を撫でた。
ここに来るまでも道々聞いてみたが、そういえば噂になっている、というほど知っている人はいなかった。
「そうか」
ぽん、と貫七が膝を打った。
「俺たちが話を聞いてきたのぁ、庶民じゃねぇか。考えてみりゃ、その辺の奴らなんて、跡取りとか関係ねぇ。そんな御大層な家柄じゃねぇしな。そんな奴らは腹の赤子がどっちだろうと、構いやしねぇだろうよ」