わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜
「なるほど…確かに、鍵は閉まってないのに開かないな」
確かめるように智哉が数回ガチャガチャとドアを揺らすけど、開く気配は全くない。
………そういえば、南館へのドアって鍵閉まってたっけ?
あの時はよく確認してなかったけど…まさか、ね。
「どうするのっ?」
「どうするって…出る方法探すしかねーだろ。
最悪窓ぶち破って出るぞ」
「まあ…最終手段はそれだね。
でも、出来るだけ穏便に済ませよう。
先生方にバレたらそれでこそホラーだよ」
智哉の言葉に全員が賛成する。
肝試し目的で学校に忍び込んだ挙げ句窓割って出たなんて…そんなアホな話がありますか。
「でも鍵じゃないんでしょう?
どうやって出るって言うのよ」
「………いや、鍵かもしれない」
「は?」
さっき自分で「鍵は閉まってないのに」と言っていた智哉が扉の前で唸りながら呟いた。
スライドドアの横についてるクルッて回すタイプの簡単な鍵は開いている。
上に回すと施錠、したに回すと解錠だったはずだ。
今、レバーは下にある。
「ほら、ここだ。鍵穴がある」
「え………ほんとだ!」
智哉が指したのは私が見ていた鍵の…もっともっと下の、地面スレスレの所。
スライドドアのドアとドアが重なっている部分に小さな鍵穴が見えた。