彼女。 (短)
俺の目からはまた涙が溢れていた。



…俺は馬鹿だ…


まりかはこんなにも俺を好きでいてくれてる…


それなのに俺は…




思わずまりかを抱きしめた。




まりかは言葉を続けた。




『本当は池田さんと遊びに行くって聞いて、嫌だったの…
池田さんを好きになっちゃったら、どうしようって…
だけどわがまま言って実に嫌われるのが怖かった…
怖くて不安で…気付いたら実の家の前に居たの。
せっかくの記念日だったし、少しでも会えたらなって…

暗くなってから実に会えて、嬉しかったよ。』


俺は聞き返した。

『暗くなってからって…おまえ10分前に来たって言ったじゃねぇか!』


まりかは、はっとして口を塞いだ。



『本当は何時からいたんだ?』



俺の質問にまりかは小さく答えた。




『4時かな…』



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