私の居場所
お母さんが玄関前で、颯太の言葉に笑顔になったあの時の事だろう。

「いつか園美さんに承諾をもらったら、園美さんをもらいに挨拶をしに来ます。今日はその第一歩です。」

颯太が私の耳元で囁く。

鼻がツンとする。

目に涙がたまってくるのが分かる。

「そんな時から、私の事思っていてくれたの?」

私はあふれそうな涙を何とかこらえた。

「違う。」

颯太は首を振る。

「もう工場へ来た時から気になって、気になって。」

そういうと颯太は豪快に笑う。

「あまりにも不器用で周りに気を使いすぎるくらい使って、いつか折れてしまうんじゃないかって思ってた。だから何かにつけて園に手を出してしまってさ。放っておけなくてさ。」

思い出すような顔をして、話を続ける颯太。

「でもあの時気が付いてさ…。」

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