私の居場所
社長は困惑しているようだ。

「そんなつもりで福山をあっちに行かせたわけじゃないんだけどな。ここにいるばかりではなく、他所で刺激を受ける事は良い事だと思ったんだが…。」

そしてみんなを見ながら言った。

「でもうちも今あいつに抜けられると困る。」

みんな腕を組んで考え込んでいる。

「これは福山さんの人生にもかかわってくる事ですし、俺達が悩んでも仕方ない事なんじゃないですか。福山さんに決断を委ねましょう。」

則人さんが珍しく、凛とした様子でみんなに言った。

ここで颯太が抜けると、一番影響をうけるであろう則人さんの言葉。

恐らく社長の代が変わる頃、この二人がこの工場を回していくのは間違いない。

その一人が欠けるかもしれないのだ。

でもみんなは則人さんの言葉に頷いた。

そしてひとりひとりとその場を離れて行った。

気が付いたら、いつものように事務所に私は一人になっていた。

取り残された私の心は悲鳴を上げていた。
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