私の居場所
社長さん一家も私達が帰らないと、休めないよね。

「園。」

車に乗ろうとすると、福山さんから声を掛けられた。

「明日起きられないといけないから、7時に起こしてくれ。」

もう、勝手なんだから。

そう思いながらも、断る事が出来ない私。

「分かりました。」

福山さんはそんな私を満足そうに眺めた。

そしてひらりと自転車に乗る。

工場の近くで一人暮らしをしている福山さん。

「じゃあ、頼むぞ。」

そう言って手を挙げた福山さんの後ろ姿に、ぶつぶつと悪態をつきながら、私も車に乗った。

運転していると、妙にお腹が空いている事に気が付いた私。

あれ?

私の分のおにぎりもあったはずなのに、皿は空っぽだったよね。
< 49 / 227 >

この作品をシェア

pagetop