私の居場所

鍋やフライパンその他キッチンの物は私が一人暮らしをしていた時の物を運び込んでいた。

そういう意味で、すでに福山さんの家には私の物が増えてきている。

「後は何が必要かな。」

さすがに一緒に居る時間が多くなってきて、私も福山さんに遠慮がなくなって来た。

緊張ばかりではもう身が持たない。

それが正直な気持ち。

「福山さん。」

そう呼ぶと、福山さんは久々に怖い顔をこちらに向けた。

「いい加減にその呼び方は何とかならない?」

私は首をかしげる。

「俺は颯太。」

そう言って、自分の顔を指さして笑う。

「福山さんは、福山さんでしょ。」

私は照れ隠しに強気で反論する。

< 89 / 227 >

この作品をシェア

pagetop