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「あ…けど奈歩。それはまずいかも」
ちづるが自分の首元をトントンと指さして言うから、
まさかと思って手鏡でみると……
「あいつ……」
「浮気相手にふつう跡つけるかねぇ…?」
「そんなの…」
「彼女にはつけないのにねぇ?」
「それはきっと…あのバカ女に魅力がないからで……」
「バカ女って誰のこと?」
教室に入ったタイミングで
声をかけられて ぎくり とする。
「なんだ、航平か。」
「なんだってなんだ、奈歩!
この航平さまがかまってやりに来たのに!」
「はいはい、どーも」
「なんだ、その態度は!」
「航さぁ、奈歩にかまってほしいならもっと
うまくやらないと。」
ちづるがあたしから航平を引き離そうと
あいだに入ってくれる。
「ちげーっつーの。俺がかまってやりに来たの!」
航平は中学校からあたしとちづるの仲間に加わった。
というか割り込んできた。
「おい…奈歩」
急に深刻な面持ちになる航平。
「なに、航平どうしたの。
そのブサイクな顔は…」
「もともとだわ!!……じゃねーよ!!!」
「航うるさいねぇ、奈歩」
「ほんとだよねぇ、ちづる」
「そのコンビネーションやめろ!!
そうじゃなくて、お前首!」
「虫に刺されたの。目立つ?」
「いや、無理があるわ!!!」
「航、声大きい。」
「あ、わりぃ。」
「DTのくせに知識ばっか持ち合わせやがって…」
「おい!奈歩!今のは聞きづてならねぇ!!」
「航平…あたしが相手してあげようか?」
「なっ…?!」