偏食系男子のススメ【完】
――開園と同時に入場した遊園地は、夏休み効果のせいか大盛況ですごい人ごみだ。
つい数十分前に正午はとっくに過ぎていたけれど、屋台に並ぶのが面倒で未だ昼食にありつけていない。
そして早川は風船以外何も持っていない。
「……で、私のフランクフルトは?」
「……あ」
引きつった笑みを浮かべる早川とプカプカ浮かぶ風船を交互に見比べれば、何となく察しはついて、溜息を吐いた。
やけに戻ってくるのが早いと思ったとも……!
「……と、とりあえずこの風船藤島にやるから」
「それでお腹が満たされるなら喜んで受け取るんだけどねえ」
「ごめんなさい」
「はい、分かったらさっさと買ってきて?」
こんなことなら、事前にどこかコンビニでおにぎりでも買ってくればよかった。
急いで屋台へ踵を返した早川の後ろ姿を眺めながら考えるけれど、もう遅い。
遊園地なんて久しぶりだし、こんなに混んでいるものとは思ってなかった。ご飯のこととか何も考えてなかったし。
まあまだそんなにお腹が空いているわけじゃないから別にいいんだけどもさ。