オトナの恋を教えてください
浅はかに初体験の相手を物色していた私を、彼はやや軽蔑気味だった。
『優しくてあげられる自信がない』なんて言ってたもん。

関係進展に時間をかけるのは、柏木さんの私への悪感情を払拭する狙いもある。


結構一緒に過ごしてきたけど、少しは……嫌な女じゃなくなったかな。

でも私、柏木さんに好いてもらえる要素、いまだゼロパーセントな気もする。

イイトコ、何にも見せてないもんなぁ。





背伸びしながらバインダーを取ろうとしていると、後ろから手が伸びた。

私の代わりにバインダーを引き出してくれたのは、志辺さんだ。

データ管理部では一番の年長者。
私とは親子ほども年齢が違うおじさま。


「ありがとうございます、志辺さん」


「三条さんには大変な部署だよなぁ。脚立使っても一番上の棚は手が届かないだろう」


志辺さんの口調はからかうようなものじゃない。
私は優しい志辺さんにわざと噛み付く。
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