オトナの恋を教えてください
「かわりに、処女くれる時、そのカッコしてよ」


ひゅっという音とともに、いろはの呼吸音が消えた。

あれ、息してないんじゃないか?
口がぱくぱく動くだけだぞ。

もとから大きな目がさらに大きく、こぼれそうに見開かれている。


よろよろと席に座り直すいろはは、かろうじて呼吸機能を取り戻したものの、言葉に詰まっているようだ。
真っ赤な顔のまま、うつむいている。

俺が「冗談」とからかいを謝罪する前に、いろはが宣言した。


「柏木さんのご趣味が……そういう方向でしたら……私も努力します」


「ぶはっ!!」


ビールなんか口に含むんじゃなかった。
からかったつもりが本気のボケを返されて、俺は全身でむせた。


「か……柏木さん!大丈夫ですか?」


「バカ!冗談にわけのわからん答えを返すなよ!」


「冗談なんですか?ええ?」


いろはは真っ赤な顔のまま焦りまくっている。
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