オトナの恋を教えてください
「やめやめ、仕事しなきゃ」


休日出勤までして、妄想に時間をかけてたら勿体無い。
私はお茶を置き、立ち上がる。
書架に向かい、膨大な紙資料の中から現物を見たいものを探し始めた。

あった、あった。
少し高い位置にある薄いクリアファイルを引き出すと、サイドの分厚いハードカバーのファイルが二冊ぐらっと傾ぐ。

あ、まずい。落ちてきちゃう。

結構、重たいファイルだ。
避けようか、受け止めようか一瞬迷った。

ただでさえ鈍い私が、そんなことを考えてはいけなかったのだ。
ファイルが私の頭目掛けて落下してくる。

い・痛そう!

覚悟しか決める時間がなく、私は頭を抱えてうずくまった。

どさどさとファイルが落ちる音。
しかし、私に痛みはない。


顔を上げると、私をかばうように片膝をつき覆いかぶさる柏木さんがいた。
< 179 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop