オトナの恋を教えてください
「出よっか」


「近くに美味しいパスタの店があるんです。行きませんか?」


「おう、行く行く」


水族館を出て、手はつないだまま短い坂を降りた。

夏の夜は暑いけれど、風があるせいか熱気が心地よい。
もし、私たちの付き合いが続いたとしたら、こんな夏の夜は何度も訪れるはずだ。

旅先かもしれない。
花火大会かもしれない。
お祭りや、海なんかも……。

だけど、私たちにそんな未来の時間は存在しない。
あと1週間と少しで私たちの日々は終わる。


イタリアンカフェの店内は混んでいて、私たちが案内されたのはオープンテラス席だ。
周りに配置された観葉植物が風を遮断するので、席はむわっと暑い。

どうしようかと思ったけれど、柏木さんが「ビアガーデンみたいじゃん」と嬉しそうに言うので案内のまま席に着いた。
柏木さんが喜んでくれるならいいや。
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