オトナの恋を教えてください
私の脳裏によぎるのは、数少ない母との夏休みの思い出。

保育園の頃、連れて行ってもらった真夏の動物園。
フラミンゴに見とれて迷子になったっけな。

必死になって探しただろう母は、心配し過ぎてものすごく怖い顔をしていた。
怖くて申し訳なくて、謝りながら泣いてしまった。
大泣きする私を抱き締めて、母が本当に深く安堵の息をついたのを思い出す。



「柏木さん、私はおかしいでしょうか?」


思い切ってした質問は要領を得ず、私は慌てて言葉をつけたす。


「母の言うがままにお見合いをして、結婚をして……そんな風に人生を選択するのは間違っているでしょうか?」


柏木さんは驚いたように眉を持ち上げたけど、すぐにいつもの優しい微笑みにもどる。


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