オトナの恋を教えてください
「母の意向なんです。なるべく早く結婚するようにって」


「母のぉ?」


柏木さんの表情が怪訝なものになる。

そりゃ、そうだ。
成人して、大学出て、立派に社会人になった女が「母の意向で」なんて言い出すのはおかしい。
自分でもわかってる。


「母は、女手ひとつで私を育ててくれました。大学も就職先も、母が望むままに決めてきました。それが私にできる親孝行だったから。その最後が私の結婚なんです」


「悪いけど、過干渉なんじゃないの?お母さん」


柏木さんの声はあきれている。
私は恥ずかしくも情けない一人娘の事情を、つまびらかにしなければならない。


「私もそう思います。でも、母が私の幸せを願って最善の道を用意してくれているのもわかるんです。私はなるべく、母の望みを叶えてあげたい。だから、お見合いも結婚も嫌ではないんです」


「ははぁ。まぁ、人んちの事情に口出しするのはナシだよな」


柏木さんは嘆息する。多少、興味を持ってくれたのだろうか。
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