オトナの恋を教えてください
「えー、つまりはですね。最後にひとつだけ母に反抗したいと言いますか、自分の我を通したいと言いますか……」


「はいはい」


「初体験だけは……自分が選んだ人にあげたいと……」


柏木さんが黙った。
私も赤面したまま、うつむく。

私の秘めたる野望。

今まで全部母の言う通りに従ってきた。結婚だって従う。

だけど、
一生に一度の初体験だけは……、好きな人としたい!

もちろん、そんなに急に好きな人はできないし、この野望に加担してくれそうな人は限られてくる。


「そこで、選んだのが俺?」


柏木さんが自分を指差す。私はこっくりとうなずいた。


「失礼ですが、柏木さんの社内での噂を知ってます」


「あー、はいはい。『来るもの拒まず、泣かせた女は数知れず、最低のタラシ野郎』ってヤツでしょ?」


柏木さんが自嘲的というか、なかば諦めたような笑顔で答える。


「いいよ、事実だし」

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