オトナの恋を教えてください
「キスも身体も、重ねれば重ねるほど離れがたい」


本当だ。
もう、一瞬だって離れたくないや。

もっとつながりたいし、もっと独占し合いたい。

福岡から帰る時、いつもものすごく寂しかったけれど、今日柏木さんと離れる方が100倍苦しい。

精一杯強がって、私は彼を見下ろす。


「そんなこと言っても駄目ですよ。もう私、帰るんですから」


「そううまくいくかな?」


柏木さんが私の身体を胸に引き寄せ、自分ごとくるんと反転する。

ベッドに投げ出された私は、きっと期待した目で見上げているんだろうな。


「帰りますからね!」


「はいはい」


柏木さんの唇が優しく降ってくる。

困ったな、日付が変わる前に帰れるかな。
お母さんになんて言い訳しよう。






<おしまい>


2015.6.5
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