オトナの恋を教えてください
うちの社員らしき人はいない。

私たちは隅のテーブル席についた。
ビニールのテーブルマットもメニューもてかてか油が光っている。

柏木さんファンの女子社員にも会う心配はなさそうだけど……。

タバコとゴマ油の匂いが立ち込める店内で、私は柏木さんに事情説明をした。

レンタル彼氏のこと。
いざ、デートとなったら緊張で固まってしまったこと。
自分がここまで男性免疫がなかったとは知らなかったこと。

本日終了とばかりに生ビールを傾けていた柏木さんは、私の話を聞き終わると一言。


「三条さんって本当に頭弱いんだね」


「うぐぅ……」


痛恨の一撃。
いろはに500のダメージ。


「自分で金払って頼んだ男とピュアなデートすらできないってどういうこと?しかも会うまで気づかなかったって。そのレンタル彼氏にすら失礼だわ。相手の仕事をバカにしてる」


「おっしゃるとおりです」


ぐうの音も出ません……。
もう、ホント自分でも情けなく思っています。

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