まだ、心の準備できてません!

お父さんは今日も仕事のため、いつも通りの時間に朝食を作った。

彼が買い置きしてあった栄養ドリンクを勝手にもらって飲んだから、体調も起きた時よりはマシ。


「おはよう、美玲」

「おはよー」


新聞を持って、ダイニングテーブルにつくお父さんと、いつも通りに挨拶を交わす。

……けど、そういえば夏輝さんがここまで私を送ってくれたってことは、お父さんと会ったのかな?

ご飯を盛りながらちらりとお父さんを見るけれど、彼はいたって普通にお茶を啜って新聞を広げている。

この様子だと、私が酔っ払って男の人と帰ってきたなんてことは知らなそう。だけど、一応……。


「ねぇお父さん、昨日何時に帰ってきた?」


ご飯を運びながら何食わぬ顔で聞いてみると、新聞から目線を上げた彼は、ズレた眼鏡を直して思い出したように言う。


「あぁ、祭りが終わって飲みに誘われてな。だから帰ってきたのは十時半頃だったか。美玲は早々と寝てたな」

「あー、うん」


……てことは、私はそれより前に送ってもらっていたのか。

夏輝さんと会っていないならよかった……面倒なことにならなくて。

< 72 / 325 >

この作品をシェア

pagetop