続・俺様専属メイド!?
俺のもんだろ。
―翔Side―
目を閉じて涙を流す杏を見つめる。
いっこうに俺と目を合わせてくれる気配はない。
小さく息を吐きながら、杏の頬に流れる涙をそっと指で拭う。
いきなり触れられたことにビクッと反応するも、目を開けてくれない。
「杏」
名前を呼ぶと、恐る恐ると言った感じで目を開けやっと視線が絡み合う。
開いた大きな瞳から再び涙が零れ落ちる。
もう一度涙を拭って、両手で杏の頬を包み込む。
「泣くなって」
昼休みに入っても杏がなかなか来ないから一応電話で呼びながら教室まで見に行くと、大河と杏が言い争っているところだった。
何でそうなってるのかは分からない。
俺が迎えに来たことにすら気づかなくて、二人は今にも殴り合いが始まってしまうんではないかと思うほどに、空気がピリピリしていた。
周りもじっとその光景を見ているだけで。