課長の独占欲が強すぎです。
「何それ、まだあの人の事気にしてたの? 東主任に宍尾さんの過去を聞いてなんでもなかったって言ってたじゃない」
「なんでもなくはなくなったからヘコんでるの。……和泉さん、有栖川さんの担当するために編集部に行っちゃうかも知れない」
「はぁ!?」
杏子ちゃんは驚いて大きな声を上げたけれど、小さな子供の遊ぶ声や近くを通る車の音があちこちから聞こえる公園では目立つ事も無く、誰もこちらを気にしなかった。
「まだハッキリした訳じゃないけどさ。でも……私それをすごく嫌だって思ってる。和泉さんにとって凄くいい話なのに。有栖川さんに和泉さんを取られちゃうみたいで嫌だって。……馬鹿みたい」
渦巻いていた黒い気持ちは言葉にすると涙が零れて、まだ午後の仕事があるのに泣き腫らした目でフロアに戻るのは困るなと思いながらも止められない。
杏子ちゃんはしばらく黙っていたけれど、やがて自分のハンカチを取り出すと優しく私の頬を拭ってくれた。