課長の独占欲が強すぎです。
眉尻を下げて笑った東さんはこちらへ近付くと、私の目元を指で拭った。
「今日は有栖川栞も来てるからね。きっとまた橘さんヘコんでるだろうなーと思って」
「またヘコんでるって……図星ですけど、東さんヒドい」
わざとおどけて言った東さんに泣き顔のまま苦笑を向ける。
私を元気付けようと一生懸命笑顔を返してくれる東さんを見ていたら、苦しかった気持ちが少し落着いた。そして。
「東さん……私、決めました。私、和泉さんが編集部に行く事を応援します」
辛いけれど大きな決心をする覚悟が生まれた。
東さんはそんな私の言葉を聞いて一瞬驚いた表情を浮かべると「本当にそれでいいの?」と真剣な声色で聞いてくる。
しっかりと深く頷いた私に、東さんは一歩近付くと瞳を覗きこむようにしてもう1度聞いてきた。
「有栖川さんに宍尾さんを取られちゃうかもしれないよ? 作家としてではなく恋人として」