課長の独占欲が強すぎです。

「和泉さん」

 呼び掛けると、彼の瞳がいっそう柔らかに微笑んだ。

 ——階段から転げ落ちる事も躊躇わないこの強い人が、きっと1番恐いのは私なんだ——

 そんなことに気が付いて、自分の胸に新しい感情が芽生えていくのが分かる。

 愛しい。強くて弱いこの人をずっとずっと愛してあげたい。守ってあげたい。

「好きです。これからもずっと、誰よりも」

 そう告げて、隣の大きな手をキュッと握ると和泉さんは強く、けれど傷つけないように優しく握り返してくれる。


 それが、私、橘小夏が生まれて初めて愛に堕ちた瞬間だった。


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