課長の独占欲が強すぎです。
ショーが終わって次の目的地を聞くと、和泉さんは海に浮かぶ小型の遊覧船を指差した。どうやらショートクルージングらしい。
「船は酔うか?」
「あんまり乗った事ないけど多分大丈夫だと思います」
そんな会話を交わしながら歩いていたのだけど、段々混み合ってきた歩道で和泉さんと並んで歩くのが難しくなってきてしまった。
通り過ぎる人の群れを避けていたら完全にはぐれてしまい、焦って振り返ったと同時に手首を掴まれる。驚いて見上げると和泉さんが実に不愉快そうな表情をしていた。
「はぐれるな。お前は子供か」
そう言って私の手を強引に自分の腕にしがみつかせる。大きな和泉さんの腕にヒシッとくっついてる私は、恋人同士の腕組と云うより大木にしがみついてるコアラみたいだろう。
少々恥ずかしい気もするけれど、彼にくっついていればはぐれて迷子になる事はまず無いので、とりあえずはその体勢のまま歩き続けた。