課長の独占欲が強すぎです。


ショートクルージングは15人ほどが乗れる小型遊覧船で、近隣の海をおよそ1時間ほど遊回する。

 陸から離れると海の水も随分と綺麗になって、甲板に出て下を覗き込めば魚が泳いでいるのが見えた。

「和泉さん、魚が見えますよ。いっぱい居る。あれ何て魚だろう」

「あれはアカラバチメと白ギスだな。釣りをした事はないのか?」

「無いです。和泉さんは釣りするですか?」

「ああ、時々な。ここはフィッシングコーナーもあるから後で教えてやろう」

 和泉さんの言葉に微笑んで頷き、もう1度海面を覗き込んだ時だった。

 少し高めの波が船体に打ち付けて、甲板の上にまで大きく跳ね上がる。

「きゃっ」

 大した事はなかったけど、身を乗り出していたせいで髪と服が少し濡れてしまった。

「大丈夫か?」

「あービックリした。でも平気です。ちょっと波が掛かっただけだから」

 本当に大した事は無いと思ったんだけれど——

「……っ!!」

 濡れた服を拭こうとして自分の姿に気付き、私は慌てて胸元を手で覆った。

 思ったより水の掛かっていた胸元は白いブラウスを見事に透けさせ、下のキャミソールが丸見えの事態になっている。春らしくと思ってとろみ素材を着て来た事がこんな裏目にでるとは……。

< 91 / 263 >

この作品をシェア

pagetop