課長の独占欲が強すぎです。

「人並みの味には出来てると思います……多分」

 取り皿と箸を渡しながらそう言うと、和泉さんは「いただきます」と丁寧に手を合わせてからまずはおにぎりに手を伸ばした。

 いつものように大きな口でパクリとかぶりつくと、三角の半分が無くなる。一般的なサイズで作ったつもりだけど小さかっただろうかと錯覚するほどだ。

「美味い」

 ひとくち目を飲み込んでから、和泉さんは私の方をまっすぐ見て言った。料理を褒められるのは2回目だけど、今回は一応彼のために作ってきたので素直に嬉しいと思える。

「お口にあって良かったです」

 そう答えてから私も「いただきます」と手を合わせて、お弁当に箸を伸ばした。

 唐揚げを口にして我ながらまあまあ上出来かなと満悦していると。

「小夏」
 
 とつぜん呼びかけられて、驚きのあまり喉を詰まらせそうになってしまった。

 だって、私は『和泉さん』と呼びかけてるのに、向こうはずっと『お前』だなんて呼んでいたんだもん。

 初めて『小夏』と名前で呼ばれて、改めて俺のもの宣言が頭に蘇りなんだか無性に照れてしまう。

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