課長の独占欲が強すぎです。
それはいわゆる『あーん』ってやつを私に強要してるんだろうか。こんなデカいナリをして、そんな甘えたな行為をねだるとは。
少々、いや、かなりの戸惑いを私が見せていると和泉さんは「早くしろ」と眼力を籠めて私を促す。こんな脅迫的な甘え方があろうか。
仕方なくピックに刺した林檎をひとつ取り彼の口元まで持っていけば、可笑しそうにニヤリと微笑まれた後、パクリと一口で持っていかれた。一瞬、私の手ごと食べられるのではないかと危惧した事は胸にしまっておこう。
シャリシャリといい音をたてて租借したあと「美味い」と満足そうに言った和泉さんは、今度は自分の手で林檎に手を伸ばすとピックに刺したそれを私の口元へ差し出した。
「食え。お返しだ」
そ、そう来たかと顔を引きつらせたじろいでしまう。どうやら人目を気にしないタイプの和泉さんは、こんなに人のいる公園で『あーん』の応酬をする事にも抵抗が無いらしい。私はすごく恥ずかしいんだけど。
抵抗しようとしたけれど、真正面からガンガンに見据えてくる彼の様子だとこのままでは無理矢理口にねじ込まれかねないので、私は仕方なしに小さく唇を開いた。