片道切符。


「俺、お前に置いて行かれないように、努力するから。」

決意を固めた俺の言葉に、愛実はそっと耳を傾けてくれている。

「もう二度と、離したくないから、必死に縋りついて、地球の裏側でもどこへだって、ついて行くから…!」

そんな俺の言葉を聞いて、愛実は嬉しそうに微笑んで、俺の頭を撫でた。

「ふふっ……待ってて?」

「は?」

どこへだってついて行くって宣言したのに、『待ってて』とは、なんだよ。

不機嫌そうな表情を浮かべる俺に、愛実は「ありがとう」と言う。

「私だって、離れたくない。けど、就職はもう決まったことだから…」

だから、俺が着いて行くって言ってるんじゃないかよ。

逸る俺の気持ちを落ち着かせるように、愛実が手を握ってきた。

「研修期間の3か月。その間だけはバンコクに行かなくちゃいけないの。

だけどね、研修が終わったあとの配属先は、希望が出せるんだ。

もう真宙を諦めなくちゃいけないって、忘れなきゃって思ってたから……日本にいても、真宙の面影を探しちゃうから…いっそのこと、そのまま研修先のバンコク支社で就職してしまおうかって思っただけなの。

けどね、真宙がいるなら…私、帰ってきたい。

真宙のいるここに、帰ってくるから。」

ぎゅっと繋いだ手を、愛実は自分の胸に寄せた。

「だから、待っててほしい。私…真宙がいない生活なんてもう、耐えられない。」

涙を浮かべながら、そう頼まれては、俺には拒否する言葉など出てこない。

「…待ってるよ、ずっと。だから、帰って来い。」


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