片道切符。
躊躇していた俺の、なにかがきれいに吹っ飛んだ。
ありったけの力で、想いで、愛実を抱き締めた。
「好きだ…」
情けない俺の声は震えていて、鼻の奥がつんとした。
ぐっとこみ上げてくるものが堪え切れなくて、目頭から熱が吹き出す。
「真宙?……泣いてる」
鼻水をすする音を聞いた愛実が、俺の腕の中でふふっと笑った。
顔を上げて見つめ合えば、情けない泣き顔を見せる俺を見て、愛実が優しく微笑んでいた。
「…好きよ」
そう、穏やかに彼女が想いを伝えてくれるから、俺の涙腺がまた緩む。
堪えようと力を込めようが、自然と湧き上がってくるものが止められなくて、みっともない泣き笑いになってしまう。
「真宙が泣いてるの、初めて見た…」
俺の頬の涙が伝う跡に指を這わせ、愛実は眉根を寄せて、困ったような、子どもをなだめる親のような、柔らかい笑顔を浮かべた。
「……みっともねぇ」
強がって吐き出した言葉すら震えてしまって、それを聞いて愛実がおかしそうに笑う。
どうしようもなくこみ上げてくる想いが、俺の胸を締め付けて、苦しくて仕方がないんだ。
愛実が、好きだ。
病気に侵されているかのように、俺の胸を侵食する想いが、強くて、苦しいんだ。
「無理……」
ぼそりとつぶやいて、愛実の背中に腕をまわし、力強く抱き締めた。
彼女の肩に顔を埋めて、涙をすする俺の頭を、彼女はくしゃくしゃと撫でる。
「………つぐだけが、ずっと、好きだ。」
弱々しくそんなことを言った俺の言葉を聞いて、愛実もまたぐすっと泣き始めて…。
「なんだよ、泣き虫。」
「ま、真宙に言われたくない…!」
お互いに泣き笑いで、見つめ合って微笑めば、また二人で手を繋いで歩いていける気がした。