華吹雪
昼見世はあまり賑わいがなく、手紙を書いたり、本を読んだり、遊び半分過ごすことがおおいでありんす。

わっちの傍らで、禿はかんざしやら、キセルやら金具などをせっせと磨きんす。

「これも磨いてくれんすか?」

たいこに懐に入れていた懐中時計を手渡すと、興味深そうに懐中時計のゼンマイを見る。

「わぁ、綺麗な時計や」

太夫と金色の懐中時計。
おかしな取り合せやけれど、これがわっちの「印」でありんす。

「姐さん、これ何て読むんや?」

たいこが懐中時計の蓋に刻まれた言葉を指さす。

「虹でありんす」

「外国の言葉か?オイラ見たことない言葉や」

「フランス語でありんすよ」

「フランス語!?さすがオイラん姐さん!」

「わっちの血の言葉でありんす」

「血?」

言葉の意味がわからす、たいこが首をひねる。

わっちの血には、フランスの血が混ざっておりんす。

その名残は翡翠のような色の目。

産まれたばかりで売られたわっちに、お母はどんな気持ちでこれを握らせたんだろう…




< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

擬装カップル~私は身代わり彼女~

総文字数/11,573

恋愛(学園)16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
放課後の図書室で目撃したのは、一目で恋に落ちて、毎日目で追っていた貴方と先生のキスシーン。 必死でその場から離れたけど、生徒手帳を拾われて覗いていたのがバレてしまった。 でも、私は気がついたの。 これって絶好のチャンスじゃない? ずっとずっと欲しかった、貴方を手に入れるチャンス。 「私の彼氏になってくれたら、見たの内緒にしてあげる」 こうして、渡瀬樹(わたせみき)と私、森風香(もりふうか)は擬装カップルを始める事になりました。 先生の身代わりだって、なんだっていい。 貴方の側にいられるのなら…

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop