雨に似ている
駅前商店街の賑わう時間を見計らってのライブ。

下村楽器店の宣伝効果もありライブの半時間前には会場にかなりの人が集まった。


郁子のピアノの音で曲が始まる。

「Beatlesの『Let It Be』」は初めての音合わせの時とは違い、郁子は堂々とピアノを弾いている。

情感あふれる豊かな演奏だ。

緊張している様子は微塵も感じられない。

詩月のヴァイオリンが重厚な低音を響かせ、貢のヴァイオリンが艶やかな音を奏で郁子のピアノに応えた。

普段はピアノやヴァイオリンの生演奏など行われることのない駅前広場に、音大付属高校の学生による確かな演奏が響く。

楽器店の店内に展示しているフランス・エラール社製のピアノ『ピアノの貴婦人』」も人目を引くにはじゅうぶんなのだろう。

演奏の凄さはわからなくても初っぱなの曲から3人の演奏に拍手が沸き上がった。

続いて2曲目は、貢の十八番パガニーニ作曲「ラ・カンパネラ」。
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