極上ドクターの甘い求愛
「な、なん…っ、何で…ッ」
『何でって…飲み会に繭ちゃんはいないでしょ。』
それはそうだけど!
驚愕の色が隠せない私の腕を掴んで引っ張る先生に引きずられるまま、先生の車であるベンツの傍までやってきた。
「あっ、当たり前です!だって、消化器外科の飲み会だったんでしょう!?」
『まぁね。』
「だったら私より飲み会の方に――っ」
『俺は科の飲み会より、繭ちゃんのほうが大事だから。』
―――っ
当たり前のように私が大事だという先生に何も言えない。こんなこと言われたこともないから、どんな風に反応すればいいのかもわからない。
こんな時、どんな顔をすればいいの?
『とりあえず、乗って?』
言葉は物腰柔らかいのに、私をベンツに押し込む先生の手は強引だった。
あれよあれよと連れ込まれた先生の車の中。
初めて乗るベンツ。初めての助手席。初めて感じる2人きりという空間。
いろんなことが初めてすぎて、発車したベンツの窓から流れ行く外観を呆然と見つめるだけだった。