極上ドクターの甘い求愛



職場で私を下の名前で呼んでくる人なんて1人しかいない。


『良かった、やっぱりここにいた…っ』

「い、岩崎先生…?」


なんで?

振り返った先には、白衣を着ていないスーツ姿の岩崎先生ただ一人。

あれ?さっきの取り巻きの人たちは?


『もう店は予約してあるんだ。遅れたらいけないからとりあえず車に――』

「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!」

『ん?何?』


にこやかに私の手首を掴んで自分の車へ連れていこうとする先生にすぐにストップをかけた。

本当に意味が分からない。

なんで先生は私と食事に行こうとしてるの?


「先生は飲み会があるんじゃないですか?さっきナースさん達に誘われて――あれ?」


証拠とでも言うように職員用玄関に目を向けたけど、そこには人っ子一人もいなかった。

あれ…?さっきのは私の幻?――いやいや、しっかりとこの目で見たし。

でも、だったら何で誰もいないの?


『何で繭ちゃんが飲み会のこと知ってるのか知らないけど…、断ったよ。』

「は?えっ!?」


断ったぁっ!?

平然と大人の付き合いを断ったと言ってのける先生に開いた口がふさがらなかった。



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