極上ドクターの甘い求愛



『――ちゃん、繭ちゃん』

「へっ?」


ゆったりとしたBGMが流れている店内。

行きつけなんだと岩崎先生ににこやかに教えられて連れてこられたのはイタリアンのお店だった。

メニューは何がいいのかと聞かれて先生に差し出されたまま、私は固まっていたようだ。

私たちの席の傍には物腰柔らかい笑顔を私に向けたボーイが立っていた。


「あ…っ、先生と同じもので…!」

『分かった。…じゃあさっきのを2つ。』

『かしこまりました。』


気が動転している私にはメニューに書かれた文字を読むことはできなくて、咄嗟に先生と同じものを頼んでしまった。

何が来るんだろう…。私が食べれるものだったらいいんだけど…。


『繭ちゃん…緊張してる?』

「へっ?あ…っは、はい、すこし…!」


先生に言われたままに頷くと、堂々としてればいいんだよと教えてくれた。

でも…堂々となんてできないよ。こんな高級そうなお店で…。

周りを見れば静かに目の前に出されたイタリアンを食べている人達ばかりで、すごく居心地の悪さを感じてしまう。

先生はいつもこんな感じのお店でご飯を食べてるの?



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