極上ドクターの甘い求愛
――先生が頼んだのは、まさかのコース料理だった。
『美味しい?』
「はい…!美味しすぎます…っ」
『なら良かった。』
パスタ一品のみだろうという私の予想を大きく裏切ったコース料理はとても美味しくて。
前菜でキャビアが乗っかってたのには顎が外れるくらい驚いたけど。
でも、それ以上に高級イタリアンという名を汚さない絶品料理に私の心はとても浮足立っていた。
――幸せだ。こんな美味しいものが食べられるなんて。
恋とか青春とかには一切興味のなかった私の人生の楽しみは食べることしかなくて。
多忙だった今日の勤務から来る空腹感が一気に満たされて笑顔が零れてしまう。
『繭ちゃんは美味しそうに食べるね。』
「…。そうですか?」
『あぁ。見てるこっちが幸せになる。』
ニコッと星が飛び出てきそうなキラキラスマイルを向けられて、頬が赤くなった気がした。
……いやいや、これは岩崎先生の笑顔じゃなくて、言葉に恥ずかしくなっただけ。
なんて、またつまらない屁理屈を並べつつも、目の前に置かれたコース料理に集中するのだった。