極上ドクターの甘い求愛
謝るなら、私のほうだ。
何事にも真正直すぎたあの頃の私は、避けられる側の気持ちなんて考えずに、ただ自分の心を守るために日野くんを避けていたんだから。
「ちょっと、やめてよ。頭上げて?」
『あの時、お前いただろ。あの河原で、俺が日村達にお前とのことで冷やかされてる時。』
「っ……」
『橋の下の草むらに隠れて見てたの、見えてたから。』
ウソ、でしょ…?
隣で日野くんが、"大丈夫。気付いてたのは俺だけだから。"なんて、言ってるけど、私はそれどころじゃなかった。
『あの時、お前に酷いこと言ったよな。アイツらに図星刺されて、咲坂のこと男女とか…思ってもないこと口走っちゃったんだ。』
「……」
あまりにも日野くんから告げられた真実は衝撃的過ぎて、言葉が出ない。
図星って何?思ってもないことって…あれはウソだったって言うの?
『次の日、お前に謝ろうと思ったんだけど、お前体調不良で休んでたし、学校来ても俺のこと避けるしで、全然謝れなくてさ。』
人生初めての失恋を体験してしまった当時の私は、そのショックからか高熱を出し、丸3日間学校に行けなかったんだ。
やっと学校に行けるようになっても、失恋の傷は癒えておらず、日野くんの傍にいることもできなかったことを思い出す。
メンタルの弱さは昔から、ってことか…。と、少し思った。