極上ドクターの甘い求愛



『……俺、こんな形でも咲坂と会えて嬉しかったんだ。』

「?」


ゆっくりと、胸の内を私に話してくれる日野くんの話に耳を傾ける。

日野くんが私と会えて、嬉しい?……どうして?

日野くんが私に伝えようとしていることがイマイチ、ピンとこなかった。


『お前、俺のこと避けてただろ。小学校6年の時から、中学卒業するまで、ずっと。』


今日の朝見た夢のせいか、日野くんが口にする昔話が私の脳内で鮮明に流れる。

気付いてたんだ、日野くん。…そりゃ、あんなあからさまに避けられたら、だれでも気付くよね。

あの河原で、日野くんの私への本音を聞いた時、もう日野くんとは一緒にいられないと思った。

好きな人に拒絶された。その事実が、私の心に重しとなってのしかかった。いくら私が日野くんのことを好きになっても、彼が私に振り向くことはない。だからあのまま何も知らなかったように日野くんと一緒にいることは、幼すぎた当時の私には到底できないことだった。

私の初恋は、初めての失恋となって終わったんだ。


『……ごめん。』

「え…日野くん?」


いきなり、訳も分からず日野くんに頭を下げられて、私は目を見開く。

何で日野くんが謝ってるの?






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