極上ドクターの甘い求愛
相変わらず言葉で言うより行動が先にでる岩崎先生に気付かれないように重い溜め息をついた。
半分はまだ残っている丸天うどんを食していく。
意外と素直に人の言うことは聞くようで、私が食べ終えるまで岩崎先生は口を開かなかった。
「――それで、まだ何か?」
『え?俺…繭ちゃんに用事がなきゃ一緒にいれないの?』
じゃあ…と私と一緒にいる理由を探し始める岩崎先生を慌てて止める。
この人…医者でしょ?なんでこんなに人と考えがズレてんの?
「何もないならいいです。私…薬剤部に戻りますから。」
『あ、待って、繭ちゃん!』
何回言っても直してくれない先生が私を呼ぶ名前。
諦めかけてるけどさ…まだ職員がいっぱいいるこんなところであからさまに名前を呼ばないでいただきたい。――なんて、本人に言ったって意味ないんだろうけど。
「何ですか?」
空になった丸天うどんの器を食堂の返却口に返そうと腰を上げると、先生に手を差し出された。