極上ドクターの甘い求愛
『購買に売ってることなんて知ってるよ。だって前に繭ちゃんが購買でコレ買ってるの見たし。』
「だったら――、」
別に私からチョコをねだらなくても。
あんな高級イタリアンに連れてってくれた岩崎先生なら、10円チョコなんて目を瞑ってでも買えるでしょうに。
不信感を募らせていると、目の前の先生はチッチッチ、と人差し指を左右に動かして満足そうに口を開いた。
『俺は繭ちゃんからもらったチョコがいーの。自分で買ったチョコで俺の溜まった疲れは取れないね。』
「……すみません、意味が分からないです。」
岩崎先生の思考回路って、本当にどうなっているんだろうか。
頭のネジをどっかで落としてきたんじゃないの?
私からもらったチョコも、自分で買ったチョコも味は変わらないのに。
正直に理解不能と言うと、どれだけ鈍感なの…、となぜか肩を落とされた。私…何かした?
「…そんなものでいいんでしたら、いつでもどうぞ。」
『マジで!?』
え、何このキラキラ顔。
岩崎先生の私を見つめる顔がキラキラしすぎてクラッとくる。
「まぁ、10円なんで。」
『ありがと!繭ちゃん。』
――だから"繭ちゃん"言うな。
そういう前に、今にも飛び跳ねそうに喜んでいる先生はオペの時間だといって颯爽と食堂から立ち去った。
……カップラーメンのカスくらい、捨てて行ってよ。と思いつつも、ちゃっかりと先生のゴミも処分して、私も午後の業務に向かった。