極上ドクターの甘い求愛



"『――え、帰るの?泊って行けばいいのに。』"


岩崎先生が夕食を食べ終えて数十分後、ようやく食事を済ませてキッチンで洗い物している私が帰ると言うと、先生はそんな突拍子もないことを言いだした。

そりゃあ、女性経験豊富であろう先生にとってみれば、付き合い初日でお泊りなんてことは普通のことなのかもしれない。

でも、でも、私は……そんなのはムリだ。

男性経験なんて皆無だし、男の人と2人きりで食事をするのなんて、本当を言うと岩崎先生が初めてだったりするわけで。

たとえ過去に1度、先生と添い寝をしたことがあると言えど、それを意識のある状態でやれと言われたら逃げ出したくなるのも当然ではないだろうか。


『……ねぇ、本当に帰っちゃうの?』


岩崎先生が運転するベンツの中。

行き先はもちろん、私の家があるマンションだ。


「はい、帰ります。」


若干声が上擦ってしまったが、ここで引き下がるわけにはいかない。

10分もかけて、先生の家に泊まっていけばいいと言い張った先生をようやく懐柔したというのに。

今、やっぱり帰りません、なんて言ってしまったら、あの努力が全て泡となって消える。



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