極上ドクターの甘い求愛



――『まーゆーちゃんっ!』


……げ。

翌日、昼休憩に入ろうと手を洗っていると、タイミングを見計らったかのようにひょっこりと岩崎先生が薬剤部に顔を出した。

嫌な顔を隠し切れない私とは対照的に、岩崎先生の登場で薬剤部の先輩方の瞳はハートマークに化している。

100歩譲って、私を下の名前で呼ぶのはよしとしよう。でも。薬剤部全体に響き渡る様な大声で呼ぶのはいかがなものだろうか。


『今から昼休みだろ?一緒にご飯どう?』

「……遠慮させていただきます。」

『そんな謙遜しなくたっていいからさー、ね?』


石鹸を泡立たせて必死に手洗いに集中しようとしている私の横にピッタリとくっついた先生は、断っているのにもかかわらず頑固に私を誘ってくる。

同意しか聞かない、とでも言いたそうに顔を覗かれて、いたたまれなくなってふいっと顔を反らした。


『咲坂ちゃん。岩崎先生も忙しい方なんだから、さっさと昼休憩に入ってきなよ。』

「ッ、前田先輩…!」

『そうそう、繭ちゃん。明日は俺と食べられないかもしんないんだよ?』


隣の蛇口を捻って手を洗い出す前田先輩まで岩崎先生の味方をするものだから、肩身が狭い。

いつの間に先輩は先生の側に回ったの?

これは裏切りだ、反逆だ、と思いながらも、ご飯ご飯とうるさい岩崎先生に洗ったばかりの手を掴まれて強制的に食堂へ連行されてしまった。



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