極上ドクターの甘い求愛
――18時。
岩崎先生の言った通り、私は先生の車がある駐車場に来ていた。
いや、これは無言で帰るのもどうかと思ってだし。先生が来たら断って帰るし。
誰も責めてなんかいないのに心の中で屁理屈を並べる。
駐車場に植えられた桜の木を眺めながら、小さく息を吐いた。
先生と出会って半年。
毎日毎日私に言い寄ってくる岩崎先生に、私はとても戸惑っていた。
私は25年間、まともな恋をしてきたことがない。ぶっちゃけて言うと、男性経験は皆無。片思いの相手はいたけれど、付き合った例は一度もない。
私は重い女だ。25歳にもなって処女で、キスもしたことがないなんて。このまま独り身で人生を謳歌して一人で死んでいくんだろうなって思っていただけに、しつこく私に構ってくる岩崎先生に酷く戸惑うのも当然だった。
岩崎先生はお医者さんで、立派な学歴を持ってて、収入もうんと高くて、おまけに格好良くて、高身長で、私とは次元が違う様な素敵な人。
そんな人が何故か恋愛初心者のひよっ子に毎日愛を囁く。
――ありえないと思うでしょう?普通は。
遊びだって思っても仕方ないと思うの。
『岩崎先生~っ!』
遠くから聞こえた騒がしい声に釣られて、私は曲がり角からこっそりと職員用玄関を覗き見た。