労苦
「ああ。俺も昔は上の人間の運転手役をしてた。車の運転ぐらい平気だ」 


 田村がそう言い、立ち上がってから、帳場を出る。


 そして歩いていく。


 俺と橋村が従った。


 それにしても意外だ。


 警視庁の現役刑事部長が一殺人事件の現場に来るなど、前例がないに等しいからである。


 まあ、それだけ下がしっかりしてないといけない。


 心の底からそう思えていた。
 

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