労苦
 まるで毒を盛った犯人が警察の捜査を撹乱するかのように。


 確かに警察サイドとしては、大村が葬られれば、南新宿署の帳場を指揮する人間がいなくなる。


 不都合だ。


 やはり殺害されれば、事件捜査に痛手である。


 科捜研の前山が、ちょうど葬儀の翌日の金曜に捜査一課関係者に報告してきた。


 被害者の口にしたコーヒーカップからは、青酸性化合物とマル害の唾液などの体液以外、何も検出されなかったと。


 ますます分からなくなる。


 闇の中だ。


 だが、鑑識や科捜研もモノから事件を解決に導くのが仕事で、俺たち刑事とはやり方が違う。


 金曜の昼、庁内の食堂で食事を取った後、午後も橋村が付いていた。


 警察官は捜査に臨む際、原則二人一組だ。



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