労苦
 ちょうど前田が席を立ち、コーヒーを二人分淹れてくれた。


 俺たちはそれを飲みながら、気を落ち着ける。


 自棄になっちゃダメだ。


 そう思い、心を落ち着かせた。


 いずれ三原を殺害した人間があぶり出されるのだ。


 慌てる必要はない。


 地味に捜査を続ける。


 たとえ、わずかな手がかりしかないにしても、だ。


 それにしてもこの事件は、俺が手を付けたものの中でも一番難渋しているヤマである。


 きつい。


 暴力団関係者が殺人に関わっている可能性が大なので、簡単には手出しできない。


 大規模な捜査が始まる前で、固唾を飲み、待つ。


 いろいろなことを考えながらも……。




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