労苦
 晴海はまだ眠っている。


 起こさないようにして、出勤準備し、外へと歩き出す。


 都内は今週一週間で曇りや雨の日もわずかにあったのだが、欠かさず出勤していた。


 その日も警視庁へ行く。


 十階の捜査一課フロアには大勢の捜査員がいた。


 皆、神宗会による三原伸吾及び当山謙太殺害で、血眼になっている。


 次は誰が狙われるのか?


 気が気じゃないようだった。


 だが、案外冷静に考える。


 余裕があった。


 事態を客観視するという。


 もちろん殺しのヤマだから、一課の人間が出動するのだが、いずれ組対も稼働する。


 物事など、捉え方次第だ。


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