自称異物少女と誠の武士
番外編 山崎×桐谷
あの日、どうして彼女は俺を選んでくれたのだろう。
自分で言うのも切ないと思うが、副長には絶対に勝てないと思っていた。
今でもどうして自分を選んでくれたのか分からない。
前に一度聞いたことがあったかが、有耶無耶にされてそのままだった。
もう一度聞いてもいいが、どうせ答えてはくれないだろう。
「山崎さーん。聞いてます?」
「すまない。聞いてなかった」
あからさまなため息が隣から聞こえる。
相変わらず暇を持て余している桐谷はよく俺のところに顔を出す。
仕事の邪魔にならない程度に話をして、自分に仕事ができると帰っていく。
相変わらず自由にしている。