姉弟ものがたり

パクパクとサンドイッチを平らげる香を恨めしげに見つめて、やり場のない気持ちを込め勢いよくお茶を流し込む。


「ヤケ飲みしてむせても知らないからね」

「げほっ…ごほ……ごほっ」


案の定器官に入り込んで咳き込んでいると、サッとポケットティッシュを差し出される。
「だから言ったでしょ」と言わんばかりの香の視線が心に刺さるが、ここは素直に受け取っておく。


「遥さ、この間教えたあの喫茶店行ってみた?」


唐突な質問に盛大に鼻をかみながら首を横に振って答える。


「じゃあちょっとこれ、飲んでみない?」


差し出された水筒を見つめて首を傾げると、蓋を開けながら香が笑う。


「これね、ライチとハイビスカスの紅茶なんだって」


蓋が開いた瞬間にふわっと漂ってきた爽やかな香りに、思わず大きく息を吸い込む。


「いい匂いでしょ?」


スッキリとしたハーブと、ほのかに甘いフルーツの香り…。
差し出された水筒を受け取ったものの、どうしたものかと香を見つめる。
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