東堂くんは喋らない。
「…私は、東堂くんと花火大会行きたいよ。
だから…一緒にいこ!」
こないだのバーベキューがすごく楽しかったみたいに、
また、東堂くんともういっこ、新しい思い出が作れたらなって。
「ほんとにそう思ってる!」
東堂くんは暫く私の顔を呆けたように見つめた後。
フイッと顔を逸らして、
「……あんたって…」
なんかゴニョゴニョ言っていた。
「え、何?よく聞こえな「とにかく!」
私を強引に遮った東堂くんが、やっぱり私を見ることのないまま続ける。
「花火には行くから。絶対行くから。以上解散」
「え…東堂くん!?」
そして東堂くんは、未だ降りしきる雨の中、突如として駆け出していった…ココアを道連れに…。
「…クーン?」
突然ココアと離されてしまったハチが、「おまえ何したん?」とでも言いたげな表情で私を見上げる。
ごめんハチ。私も。
「全くわかりません…」